ブライトライツ・ホーリーランド

古橋秀之デビュー作『ブラックロッド』から始まる三部作の完結編。<ブラックロッド・シリーズ>はまさに凶器と驚喜と狂気に満ち満ちた物語。まさしくライトノベル界の奇才が放った鬼子とも言うべきか。そしてこの完結編。次から次に現れる強烈な登場人物たち。ある者は人であり、ある者は人でありながら人でなく、またある者は既に人でなし。そして人外は跋扈し神は降臨する。前二作から引き継いだ登場人物と設定に新たな要素を付け足して、見事なプロットを打ち立てる。『ブラックロッド』よりも『ブラッドジャケット』、さらに本作へと加速度的に盛り上がる物語の濁流は読む側を圧倒させる。果たしてこれ程のライトノベルがこれまでにどれだけあったというのだろうか? 僕もまたこのシリーズをオールタイムベスト級に推挙することに躊躇いはない。だからこそ、だからこそ古橋秀之の泥沼のような新作が読めないことを悲しく思うのだ。
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