機動警察パトレイバー ザ・レイバー・インダストリー

『この番組はフィクションですが10年後においては定かではない』

リアルタイムで見ていたわけではないのですが、機動警察パトレイバーのこのテロップは未だ印象に残っています。しかし現実には、東京湾直下型地震は起きず、ソ連は崩壊し、ロボットよりも先にユビキタス社会が現実のものとなってしまいました。しかし、もしも前述のようなことが起こっていたら?と思う人は案外いるらしく、2002年2月21日に2ちゃんねるにクーデター勃発スレが立ったこともありました。そして、2009年。前作「一年戦争全史」に引き続く、「アナザー・センチュリー・クロニクル」第3弾として本書が発売されました。いやあ、仮想戦記ものや宇宙世紀学なんてものが好きなオタクにとって、こうした架空の歴史教科書は大好物です。本書はレイバー産業の誕生から成長を社会・政治・経済の面から検証していおり、巨大ロボットはある日突然降ってわいたわけではない、ある合理性と必然性によって生まれるべくして生まれたことへの回答を徹底した嘘八百で裏打ちしていきます。ただまあ、TV版・OVA版・劇場版を同じ時間軸で扱っているため若干の齟齬などが怒ることは致し方ないこと。たとえば二年間で自衛隊のHAL-X10も二回暴走していたり、甲斐と柘植によって国内で二度もクーデターが勃発していたり。この国のシビリアンコントロールについては荒川でなくとも心配してしまう(笑)。しかし、そんな些細なことを抜きにして、50点近いレイバーの書き下ろしイラスト&解説など見所、読み応え十分。
さらに、3月17日には『ケルベロス東京市街戦』も発売とのこと。これまた表紙がいいんだわ。
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