夢の守り人

NHKでアニメ化もされた「精霊の守り人」から始まる<守り人シリーズ>第3作目。『精霊の守り人』『闇の守り人』が女用心棒バルサを主役にした話だったのに、本作では出番がぐっと減っていて驚きました。代わってスポットが当たるのが、呪術師のトロガイと弟子のタンダ。そしてタイトルからも分かるとおり必然的に話は精神的な世界観へ。<守り人シリーズ>の魅力のひとつはその圧倒的な世界観の構築にあると思うのですが、本作でより深くこの世界のスピリチュアルな側面が掘り下げられます。ほんと、読めば読むほど上橋菜穂子の創作力には感服しますね。日本人でここまでファンタジーをかける作家は他に何人いるのやら。

人の夢を糧とする異界の“花”に囚われ、人鬼と化したタンダ。女用心棒バルサは幼な馴染を救うため、命を賭ける。心の絆は“花”の魔力に打ち克てるのか? 開花の時を迎えた“花”は、その力を増していく。不可思議な歌で人の心をとろけさせる放浪の歌い手ユグノの正体は? そして、今明かされる大呪術師トロガイの秘められた過去とは?

というお話なわけですが(笑)、チャグムも(一応)出ますのでご安心を。で、これはこれで楽しかったのですがやはりバルサの出番が少ないのはしょんぼりですねえ。それでもタンダとの深い絆が伺いしれるあたりはさすがですが。もうこの二人は恋人を通り越して家族ですよ、家族。そりゃ、チャグムもあんな夢を見てしまいますって。
最後にちょっと与太話。ぼくは軽装版偕成社ポッシュ版で<守り人シリーズ>を読んでいるんですが、この版には二木真希子さんの挿し絵があるんです。この挿し絵はアニメ版とは全く別ベクトルなのですね。そして、新潮社版の表紙はまた違う方なんですよね。あれはレイアウトがかっこいいですけど。それでなにが言いたいかって訳ではないのですが、アニメ版のバルサ巨乳ですよね(死ねばいいのに)