赤い星

赤い星 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)赤い星 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
高野 史緒

早川書房 2008-08
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ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。現皇帝ボリスに暗殺されたはずのドミトリー皇子が秋葉原に潜伏している、その情報を収集してほしいと。公方様の落胤を自称する真理奈太夫は、ロシア皇后の座を狙っているらしいのだ。そんなある日、おきみは幕府の付け家老・シュイスキー公爵から、偽ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。いったいロシア本土では何が起こっているのか? ペテルブルクで音楽修行中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、仮想空間ペテルブルクで謎の<赤い星>到来の噂を聞くのだが……異形のロシアを幻視する最新長篇(裏表紙より)

こんなあらすじで、ロシアミーツ江戸でギブスンでブルガーコフで、「シベリア横断ウルトラクイズ」なのです。「ペテルブルクに行きたいかー?!」「おー!」いやいやいや!
というか、あらすじを転載した段階でデンパの匂いしかしないのは何故なんでしょう。そもそも江戸って言ってるけどラップトップだパームトップだって普通にでてくるし、かと思えば西暦1917年が「未来」という記述も出てきて年代設定が「???」となる上に、時間軸や場所がブレまくるので、今語られている物語がどこに位置するものなのかが大変にわかり難く、そもそもその語られているものが「本当のこと」なのかどうかすら疑わしくなってくる(いやそりゃ小説だから虚構なんだけども)、「信頼し難い語り」満載の小説なんですよ。読んでると曰く言いがたい不安を掻き立てられていくというか、それがどういう感情なのかってのが上手く表現できなくて大変にもどかしいのだけれど、とにかく不安になるのですよ。物凄く乱暴に分類すると「胡蝶の夢」なんだけど、それだけで片付けるのは流石にこの作品に申し訳ないのですが。
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