騒がしい死者の街―優しい煉獄 2

騒がしい死者の街―優しい煉獄〈2〉 (トクマ・ノベルズedge)

騒がしい死者の街―優しい煉獄〈2〉 (トクマ・ノベルズedge)

昭和60年代をモチーフにした死後の世界を舞台にしたSFハードボイルド。この世界はVRNWSと呼ばれる「あの世」で死んだものが暮らす仮想現実。そんなVRNWSの中でも最下層に位置し、日々「この世」が「あの世」のように不便になっていくというのが作品の肝。例えば、以前ならば永遠に冷めなかった珈琲が冷めるようになったり、あるいは「犯罪チケット」を使えば犯罪ができるようになったり……。
そんな世界でただひとり半ば道楽で探偵をしていた主人公。しかし、「犯罪チケット」の登場で空前のバブル到来……というのも束の間で、自称警察官やら、他のVR世界に住んでいるらしい女探偵やらが現れて、今日も今日とてハードボイルドな探偵物語。だったらよかったんだけど。設定は面白いのだけれど、いかんせん事件がみみっちい上にSFマインドが希薄。設定の面白さは1巻でやりつくしちゃってるような。どっちだよ。でも、主人公もお話しもハードボイルドかと言われると、いやね。居酒屋でとりあえずビールはハードボイルドなのか?(笑) ただし、最終話はちょっと別格。巧いね!
前作『優しい煉獄』*1は、ちょいと前に文庫落ちしています。
優しい煉獄 (徳間デュアル文庫)

優しい煉獄 (徳間デュアル文庫)

イラストが山本ヤマトさんに変更になっていて、探偵さんがかっこいい(笑)