ミッションスクール

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

電撃hpで掲載された表題作「ミッションスクール」ほか、書下ろしを含む田中哲弥のオリジナル短編集。電撃hpの読者投稿でフルボッコされただけでも凄いのに、そんな作品が早川から出版されちゃうあたりが凄い。しかし、誤解してはいけない。こいつは傑作だ。あるいはバカである。いや、著者は関西は大久保町の住人なのだから、アホだとでも言えばいいのか。そう、全力でアホだ。冒頭からして「下痢のため一刻も早く排便したいですなどと〜」なのだ。それも、それがミッションスクールに通う美少女女子高生の発言で、その上MI6の秘密スパイで、実は主人公も国連の工作員で数ページ後にはベッドインしている。そりゃあなた、2001年にライトノベル雑誌で読まされたら困惑されるし怒られるよ。
ただし、現在だったらどうだろうか? 案外普通に電撃文庫になってたかもしれないよ。だって、こんなアホで面白い読み物を放っておくわけ無いじゃないか。そう、読み物として田中哲弥の文章は神がかっている。たたみ掛ける様に、踊らされるように、ぽんぽんとあほな会話とシチュエーションを読まされてしまう。
そしてなんといっても、どの話も誰か壊れてるなんてもんじゃなくて、みんなネジが1本足りないような人物ばかり。でも、女子高生は間違いなく可愛い美少女でちょっとエッチなのだ。たまんないよな。
それにしても、本書書き下ろし1篇だけが7年ぶりの新作である。本書が2006年の出版だけれども、その後田中哲弥氏の新作情報を聞かない。寂しいなあ。やけくそになって『悪魔の国からこっちに丁稚』でも出ないかな? 先日、友人に現物を見せていただき、その評判どおりの超訳に笑ったのだが。それと、最後にひとつ。橋本晋氏のイラストやっぱ好きだわ(笑)