シュレディンガーのチョコパフェ

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)

シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)

『まだ見ぬ冬の悲しみも』*1を改題し、新たに1篇を加えた山本弘のSF短編集。個人的には表題作の「シュレディンガーのチョコパフェ」がお気に入り。宇宙と人のアイデンティティが崩壊された世界でオタクカップルはどんな世界を願うのか?とかそんな感じの好みの世界改変話。なんだけれど、『カレイドスター』やら『リリカルなのは』から『宇宙船間ヤマト』、そして『ウルトラQ』をはじめ古き特撮ネタなんかも山盛りのガジェットも楽しい。キッチュでポップな結末が特に好みなんだけれど、解説を読んだら前島賢が、宮崎勤事件から始めて「フィギア萌え族発言」「アッコにお任せ初音ミク問題」まで取り上げて、『僕には「シュレディンガーのチョコパフェ」の世界の「俺たちは幸福だった」をどう受け取ればいいのか分からないのと同じくらい、今現在のオタクの楽園についても、よく分からない』と書いていてうなってしまった。そもそも、早川の解説で前島賢氏がライトノベルやらなんやらと書きつらねているって凄いよなあ。
脱線。その他の作品では「メデゥーサの呪文」「バイオシップ・ハンター」が好きかな。どれもどこかで読んだようなネタなのに、山本弘の腕でちょっと別物に仕上がってて美味しい感じ。これは、他の作品にも言えるかな。
最後に特筆すべきは、表紙が橋本晋氏のイラストだということ! 好きです!