メシアの処方箋
- 作者: 機本伸司
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2007/05/15
- メディア: 文庫
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さて、上記の小松左京の選評では「壮大なテーマに真っ向から挑み、見事に寄り切った作品」とも評された機本先生。本作で扱うテーマはそのものずばり「救世主の創造」。地球温暖化の影響で凍解したヒマラヤの氷河湖から箱舟が見つかるという出だしには、ぐいぐい引き込まれてしまうことは間違いないはず。そしてその中身が、救世主の遺伝情報だとしたら? もう、ワクワクが止まらないですよ。本当にストーリーテーリングはお見事。登場人物を嫌悪しつつも読むてが止まらないのは、散々ぱら言っておいてなんですが、とにかく「真理を知りたい」という登場人物たちと同じ思いからなんです。そして、最後にもたらされた救済については、救って欲しいという心が逆転して、救いたいという心になることで終わっているのだけれど、救世主を置いていったデザイナーと同じくありがた迷惑である。
ところで表紙の方々はどなたでしょうか? 本作にはこんな奴らいないよ。デビュー作の表紙が当たったとはいえ、ハードカバーともまた違う、でもどちらにせよ誰だか分からんライトノベル風キャラ絵を持ってくる理由が謎。でも、早川の『スペース・プローブ』も同じ路線なんだよね。内容と表紙の乖離の激しい本の人だな。