“文学少女”と慟哭の巡礼者*1/ 野村美月 / 竹岡美穂

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

文学少女シリーズ屈指の第5巻。これまで悪夢のような天使の記憶として作品に影を落としていた、朝倉美羽満を持しての登場。予想通りに、そして想像以上に黒く病んでおりました。琴吹さんを、芥川くんをと心葉くんの外堀を埋めてきた美羽。本性炸裂なのですが、世にい言うヤンデレと違うのは、主人公の心葉くんも充分ヤンでる点でしょうね。既刊でのモノローグのとおり彼は彼女を神聖視しすぎ、そして彼女は……。美羽の言動の背景にも注目ですが、最後は柔らかく遠子先輩が〆てくれます。その、これまでの巻で張られた伏線を綺麗に畳んでしまう様は圧巻です。野村美月の力量に感服。
琴吹さんエンドも見えてきた心葉くん。だけど、僕は遠子先輩の笑顔が悲しいよ。謎の存在“文学少女”の秘密とはなんなのだろう*1。番外編を挟んで遂に文学少女シリーズも卒業編。どうか最後は、遠子先輩が大好きな甘〜いお話で終わるといいな。
”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

余談ですけど、僕はこういう思春期の痛々しい小説苦手なんですね。理由? 痛いから。や、中二病とか言うんじゃなくて、正反対に逆。もろに心に響くんですよ。だからもう、文学少女シリーズを読むときは気合入れて薬飲んで読んでます。そこまでしてどうすんだって話ですが、このシリーズは痛み以上のものがあって、病的に引き込まれてしまうんです。ああ、キャラメルポップコーンみたいなお気楽極楽なラノベが読みたいよ〜。

*1:これまでも充分謎だったけれど