電脳コイル(2)

電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge)

電脳コイル 2 (2) (TOKUMA NOVELS Edge)

今より少しだけ未来の202X年。小学生の間では、ウェラブルコンピューター《電脳メガネ》が大流行していた。この《メガネ》をかけると、町のどこからでもインターネットに接続して情報を交換したり、データをダウンロードして必殺技を手に入れたり、実体はないのに本物そっくりの電脳ペットを飼ったり、子どもたちだけのとびきり刺激的な秘密の遊びをすることができるのだ。ただし、《メガネ》を楽しめる時間には限りがあって……。運命的に同じ日に大黒小学校へと転校して来たふたりの“ユウコ”──優子と勇子。イサコは、ダイチ率いる〈大黒黒客クラブ〉に、貴重な電脳物質“メタバグ”の鉱脈を教えると持ちかける。〈コイル電脳探偵局〉の一員となったヤサコは、フミエと共にそのあとをつけていた。一行が向かったのは「バスの墓場」と呼ばれる不思議な場所だった。 “失ってしまったたいせつなもの”をとりもどすための、《メガネ》のある最後の夏がはじまろうとしていた!

小説版の電脳コイルのアニメとの最大の違いは、《メガネ》は13歳までしか使えないのだ。小学6年生、12歳の夏休み期限は残り1年、ヤサコは、イサコは、ハラケンはそれぞれ失ったものを取り戻すために「最後の夏」を駆ける。
ミチコさんや玉子の事情がアニメよりも詳しく書かれている。ただそれが、アニメと同じとは限らないので注意。話はメタバグ狩り(アニメ第5話「メタバグ争奪バスツアー」)が中心。正直なところ、アニメ版の強烈なビジュアルイメージのほうが小説版の描写よりも強い。センスオブワンダーを求めるならば、アニメ版で十分だろう。ただ、小説版には子どもの「痛み」がある。子どもの感じる痛さを描いたジュブナイルが僕は好きだ。宮村優子の書く子ども達の心はちょっと痛い。「子どもは泣かない」だkど、泣いてしまうこともある。
ちなみに著者の宮村優子のプロフィール。

東京都生まれ。脚本家。ドラマ作品に『六番目の小夜子』(’00年 NHK)、『どっちがどっち!』(’02年 NHK)、『活動寫眞の女』(’99年 NHK)、『ゆうれい貸します』(’03年 NHK)、『慶次郎縁側日記』シリーズ(’04年〜 NHK)など。’04年より、『野生時代』(角川書店刊)にて「自転車仮面」「十一階の幽霊」「にせものルビー」など短編小説を発表。本作、小説版『電脳コイル』はアニメ監督、磯 光雄とのコラボレーションにより実現した、著者初の長編作品である。

お約束のひと言を付け加えるなら、「声優ではない」